セルとクリーブランド管のマーラー第6番。

マゼールの前のクリーブランド管はジョージ・セルが率いていた。私はちょうどクラシック入門時にマゼールとの録音で親しみ、セル時代の録音は、昔NHKのFMで聴いたりしたことはあったかもしれないが、ソフトを買ってまで聴く機会が無かった。しかし年季の入ったクラシックファンなら、クリーブランドと言えばセルと言う人も多いのではないかと思う。
このコンビにはマーラーの録音が4番、6番、10番アダージョとあるそうで、4番は見かけないが、6番は入手しやすい。ライブだそうでちょっと躊躇したが、取り寄せてみた。

まず第一楽章の入りは、遅くも無く速くも無く。音は1960年代のライブなので仕方が無いが、くぐもった感じだ。低音は不明瞭、だがそれなりに量がありぼやぼやと蟠っている。それが、妙な迫力を生み出している。アルマのテーマへの転換は、惜しいことにやはり音質の問題で、はっとするまでに至らない。もう少し音が鮮明であれば煌びやかさが出て良いのだが。
スケルツォが第二楽章。ここはちょっとテンポを落としていて重厚に始まる。少し速めで不安に追い立てられるような演奏を好ましいと感じていたのだが、前述の低音の不明瞭な不気味さのおかげか、これはこれで面白い。
第三楽章に置かれたアンダンテは、やはり、物足りない。演奏の問題では無く、音のクリアさが欲しい。一時的にではあるが安息を得る場なので、美しければ美しいほど良いのだ。
終楽章も、音質に関しては変わらない印象。しかし、くぐもった感じが功を奏したのか、ハンマーの音が、何か肉のような柔らかいものを強打したようなボスっと言う柔らかさを帯びていて妙に迫力があった。

アメリカのオケであるから、もっとドライでスピーディーか、あるいはゴージャスに転ぶか、どんな感じだろうと思っていたら、どっしりと腰をすえた重心の低い演奏で、ドイツの放送響あたりを聴いているような雰囲気。スタジオ録音で入念にリマスタリングされたものがあれば、さぞかし素晴らしかっただろうと思う。

コメント

人気の投稿