「Small Faces(Immediate)」と「Ogden's Nut Gone Flake」。

昔から、といっても自分が学生だった頃であって、彼らが活躍していた時代からは随分と後のことだが、スモール・フェイセスは好きなバンドで、しかしその頃は正規にリリースされたアルバムと言うのが判然とせずまた容易に手に入らず、代表的な曲がほぼ網羅された企画編集版のLPレコードを1枚だけ持って聴いていた。尤も、1970年代後半から80年代、60年代イギリスのバンドでオリジナルのアルバムが簡単に入手できたのはビートルズやストーンズぐらいで、他の60年代のバンドのアルバムをきちんと揃えるのは難しいことだった。ベスト盤かアメリカ編集盤しか売られていないなんてことは普通だったのだ。
と言っても、彼らの正規のアルバムは、デッカからの、66年のデビュー盤「Small Faces」1枚、そしてわずか1年で移籍したイミディエイト・レーベルからの、紛らわしい同じ名前の「Small Faces」(よってオンラインショップなどでは「Immediate」と注釈が付いている)と、高名な「Ogden's Nut Gone Flake」の2枚で、あとはどれも企画盤のようだ。



今回はこのImmediateでの2枚を一緒に入手した。もう一枚ボーナスディスクらしきものを加えた3枚組みのボックスセットもあるようだが、音質など余り評判が良くないのでパスしたものの、結局中身は同じだったりするのかも知れない。
「Small Faces(Immediate)」の方はデビュー(?)35周年の記念盤だそうで、2枚組みになっている。オリジナルのステレオ版とモノラル版の2枚、各々にボーナストラックが納められているが、ほとんどは本来の曲と同様、同じ曲のステレオ版とモノラル版。2曲ほど別の曲というか別テイクが収録されている。ステレオかモノラルかだけの違いを無いものとすると、ラジオCMのようなサンプラー音声を別にして計26曲になる。
「Ogden's Nut Gone Flake」は30年ほど前に友人のお兄さんが持っていたのを聴いたような気がするが自分では持っていなかったので記憶は無いに等しい。こちらは1枚だが、オリジナル12曲に対してボーナストラックが14曲とたっぷり入っている。ザ・フーの「セル・アウト」、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」、ストーンズの「ゼア・サタニック・マジェスティ-ズ・リクエスト」等と同様、ビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」の影響で生まれた、いわゆるコンセプト・アルバムのはしりのひとつだ。
2作通して聴くと、やはり大成出来なかったバンドらしく、楽曲の出来にムラがある。良い曲はとことん良いが、それ以外はそれなりだ。同じようなフレーズを少し変えて使い回しているように思える節もある。ヴォーカルは素晴らしいし、イアン・マクレガンやケニー・ジョーンズといった腕のいいプレイヤーがいはしたものの、ソング・ライティングというかメロディーメイキングというか、曲作りの才能において、同時代から抜きん出ることが出来なかったのだろう。それでもヤードバーズよりは随分と優れているけれど。

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