ローレンス・ブロックの「倒錯の舞踏」。

引き続きマット・スカダーもの。"倒錯三部作"の2作目である、「倒錯の舞踏」。まさに倒錯者と禁酒中のアル中探偵の対決だ。



前作「墓場への切符」で、過去から蘇った異常者を相手にしたスカダーが、今度はひょんなことから発見した異常者を追いかけていく。
異常な犯罪者に対して、アメリカの司法制度はふさわしい報いを受けさせることができない。それが判っているから、警察も動かない。突き止めた真相を持っていく場を失ったスカダーが、何を決断するか。"三部作"と呼ばれる作品群の中間ではあるが、一続きでもなければ似たような話が三作続くわけでもなく、ここでシリーズは新たな局面を迎える。
加えて、今作では42丁目界隈をうろつく少年、TJが初登場する。かつてはいち脇役に過ぎなかったエレイン、前々作「慈悲深い死」から登場した犯罪者ミック・バルーをはじめ、複雑化していく現代社会に対応すべく、スカダー側の戦力が少しずつ増していく印象だ。

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