マゼールのマーラー、2番、5番、3番。

マゼールのマーラー全集、特に何か意図があるわけではなく、何の気なしに最初に聴き始めたのは2番だった。
どっしり構えた出だし、と思いきや、終始遅いわけではなく、意外なところでテンポを上げたりと、とにかく全編に渡って恣意的というか、ケレンに満ちた演奏。まさに、こういうところがマゼールらしさだろうか。終楽章の冒頭など、やるだろうなと思っていながら、そこまでためを作るのかと、驚かされた。しかし、そもそもマーラーはドタバタ、ガチャガチャした音楽なのだから、悪いほうに転んでいる気はしない。
録音はなかなか良く、立体的だ。左右だけでなく、上下、時に奥行きも感じさせてくれる。ウィーンのホールの響きのおかげでちょっとまろやかになっているのも功を奏しているように思える。強いて言えば声楽がちょっと弱く聴こえるのが難点か。
メータとウィーンフィルの録音は重たくてお腹いっぱいだったが、こちらは味が濃くてお腹いっぱいになってしまうような感じ。

続いて聴いた5番は素晴らしかった。録音の傾向は2番と同じ。メリハリの効き具合は2番ほどではないように思えたが、それは曲そのもののつくりによるのかもしれない。しかししっかりと音が出てきて、それが豊かに響くので、まさに豊潤、ゴージャスな演奏だ。ノイマン晩年の録音とは方向性が真逆だと思うが、どちらも指揮者の統率が行き届いている点では同様だし、手持ちの中では双璧だ。

そして3番、これはもう巨大な曲なので少々暴れても大見得を切っても全く違和感が無い。こちらは声楽のボリュームバランスも良い。

これはなかなかの収穫ではないか。もっと早く手に入れておけばよかった、と思えてきた。

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