クレンペラーのマーラー。

フランスのEMIから、クレンペラーのマーラー録音を集めた廉価ボックスセットが出たので入手した。交響曲第2番と「大地の歌」は同じ録音を持っているが、他を個別に集めるよりも圧倒的安価に揃えられるので飛びついた。



未聴は交響曲第4番、第7番、第9番、そして歌曲集。
4番のソプラノ独唱はエリザベート・シュワルツコップ。フリッツ・ライナー指揮シカゴ響の録音でリーザ・デラ・カーザの独唱に感動して調べてみたとき、かつてシュワルツコップがEMIの重役であった夫の力を利用してライバルのデラ・カーザを追い落としたと言う逸話を知り、以来、この人の録音は聴く気にならなくなった。もっとも、シュワルツコップ自身というよりその夫、そしてEMIの方が仕掛けたことかもしれないし、こだわるならEMIの製品自体嫌いにならねばならないのだが、そこを避けると楽しめる音源がずいぶん減ってしまうし、まあ、目くじらを立てても仕方がない。何よりクレンペラーのマーラーをひと通り聴いておく事は必要だ。
7番は、演奏時間99分だと言う。異常だ。最近の録音を眺めると、80分を超えてCD2枚にまたがるものが多いが、70分台で1枚に収まっているものも少なくない。1枚ものと比べると20分以上時間がかかっていることになる。これは、聴く前からちょっと腰が引ける。
9番も、けして短くなく、2枚にまたがっているのは少し残念だ。

まずは4番から聴いていこう。
冒頭からして異様なほどにテンポが遅いと感じる。へえ、と思いつつ聴いているとその遅さが迫力を増してきて、何か巨大な動物がゆっくりと動いているのを見聴きしているような気になってくる。ハイティンクの録音でも4番らしからぬ大きさを感じさせられたが、それとはまた趣の異なる偉容だ。何だか7番を聴いているような気分になってくる。リマスタリングは鮮烈ではないが十分にクリアで、立体感も思ったよりあり、オケが水平・垂直両方向に広がる。そのせいもあって、音楽が大きく感じられるのだろう。
しかしまあ、終楽章になるとヴォーカルが加わるためかテンポも普通に戻った感じで、まあ、普通に4番だな、という印象。シュワルツコップは途中ちょっとしんどそうに聴こえる場面があったが気のせいか?

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