ブロックの「殺し屋 最後の仕事」。

「殺し屋 最後の仕事」は、ローレンス・ブロックの殺し屋シリーズの邦訳4冊目。そして、これがシリーズの最終作だそうだ。



全4冊のシリーズのうち、1、3作目が連作短編集、2、4作目が長編だ。といっても、3作目は個々のエピソードの連続性がかなり強く、全体を通してひとつの長編のようでもある。そして今、最後の作品を読み終えて眺めてみると、シリーズ全作品が長大なひとつの作品、こんな言葉はないだろうが、「連作長編集」のようでもある。
したがって、まず注意せねばならないことは、いきなりこの作品からシリーズに入らないことだ。この作品で初めて明示されることがあるし、あるいは、ケラーが思い出す過去は大抵以前の作品に描かれた事象であったりする。ケラーのこれまでを知っていることで、味わいが増すことは間違いない。従来の作品を読んだ上で手に取るべきだ。
そしてまた、シリーズのファンにとっては、ちょっと衝撃的なことが起こるし、それでも恐らく多くのファンは、いやいやきっと何かあるはずだと考えるだろうし、そしてやっぱりそうかと呟いたりもするだろう。特に、私は今回過去の作品を一気におさらいし満を持して待ち構えていたので、恐ろしく集中して作品世界に没入できた。
おかげで、月曜からの通勤の供にする予定が、届いた土曜のうちに、といっても日付が変わって日曜にはなっていたが、夢中で読み終えていた。面白い本は、400、500ページほどあっても、いつもいつも一気に読んでしまう。妻からはもったいないからもっとゆっくり読めば、と言われるのだが、今回もそうだった。
さて、これでケラーの活躍(というほどアクションも謎解きもないが)も読み収めだ。寂しいが、さわやかな別れだった。それに、気が向けばまた読み返せばよいだけのことだ。
この後は、まず注文していた他の本が2冊あるのでそれらを読んでから、マット・スカダーシリーズを第1作から読み返してみようか。

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