小林旭の無国籍映画に関するメモ(8)。

渡り鳥北へ帰る(1962.1.3)


舞台:北海道・函館
滝伸次の素性・目的:素性は元バンドマンで、かつての同僚であり親友であった岡野の遺骨をその故郷に届けに来た。あわせて、岡野を撃ち殺した「マサ」という男を捜してもいる。
ライバル役:「ハジキの政」と名乗る男(郷鍈治)。実は麻薬取締官。
ルリ子の役どころ:岡野の妹。実家は造船所を経営。
悪の黒幕:キャバレー経営者で裏社会のボス、黒川(内田良平)。後半、麻薬密売組織のボスである漢(二本柳寛)も加わる。
黒幕の目的:岡野の造船所を奪い、倉庫にし麻薬取引の拠点を作ること。
寸評:
前作「大海原を行く渡り鳥」で少し出番の多い脇役として登場した錠の実弟である郷鍈治が、錠のポジションで出演したシリーズ最終作。前年旭がリリースしヒットした曲「北帰行」にちなんで企画されたようで、タイトルには「北帰行より」と副題が付く。よって、オープニングの主題歌も当然「北帰行」に置き換えられている。
滝は元刑事だったはずだが、ここでは元バンドマンで、刑事を辞めてからバンドマンだった時期があったということだろうか、よく分からない。また、資料では「岡野」となっている姓が、劇中では「岡田」になっていたりもする。とはいえ、郷鍈治はそんなに悪くないし、白木マリが踊り子からマダムに出世(?)していたり、地元のボスだけでなく麻薬取引の相手も加わって悪党側に厚みを増したりと、なかなかに力の入った作品ではある。ただ、いつもなら人知れず去っていく旭が、いつかまた戻ってくるとはっきりルリ子に告げ、見送られながら去っていくというのは、やはり最後を意識していたのだろうか。
これにて、シリーズは終わってしまった。残念ではあるが、マンネリは否めず、潮時だったのかもしれない。

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