小林旭の無国籍映画に関するメモ(4)。

渡り鳥いつまた帰る(1960.4.23)


舞台:佐渡島
滝伸次の素性・目的:不明
錠の役どころ:「ハジキの哲」。滝を弟の仇と信じ追いかけてきた。
ルリ子の役どころ:鉱山の女主人(南田洋子)の義妹。姉が悪人に鉱山を任せていることで苦悩している。
悪の黒幕:鉱山の雇われ支配人の榊原(金子信雄)。
黒幕の目的: 第二次大戦中、兵隊であった自身が廃坑に隠した徴発物資の金銀宝石類を得ること。
寸評:
「ギターを持った渡り鳥」で口にした佐渡訪問が実現した作品。おそらくは当初予定での第二作だったのだろう。
冒頭少年と出会い、せがまれてギターを弾き出すと、それが主題歌のイントロ、そのままタイトルへ、と言う流れはなかなかにスマート。


赤い夕陽の渡り鳥(1960.6.29)


舞台:福島・会津
滝伸次の素性・目的:不明
錠の役どころ:「ハジキの政」。東京の組織から、逃げたボスの情婦を探すよう命じられ、各地を回っている。
ルリ子の役どころ:若い牧場主。温泉の源泉が牧場内にあるため、地域のためにも土地を守ろうとしている。
悪の黒幕:一見善良そうなホテルの経営者(大坂志郎)。自らは表に出ず「沼尻興業」という組織を陰で操っている。
黒幕の目的: 牧場の土地を取得し、地域のためにバス道路を通そうと言うのは表向き、実は源泉を我が物にしようとしている。
寸評:
悪の黒幕が、かつてTVドラマ「大岡越前」で温厚な同心を演じ続けていた大坂志郎というのが、世代によってはギャップを感じて面白いのではないだろうか。そして終盤に向け、彼に使われている中ボス級の近藤宏が、ボスを殺して自分がすべてを手に入れようとするという、二段ロケット的な展開もなかなか良い。
女を相手に錠の軽口が冴え渡るのはよいとして、錠が滝を助ける理由が少し弱い。同じ組織の同僚「匕首ジミー」や沼尻興業の連中が、発見したボスの情婦を見逃そうとしたことを東京の組織に告げ口しては困るから、というのだが、ボスの情婦とのやりとりは周囲にはっきりとは知られておらず、また彼女は結局近藤宏によって殺されている。何とでも言い逃れはできそうな状況になっていたわけで。それよりは自分を消そうとした沼尻一派に落とし前をつけたという、シンプルな設定でよかったのではないだろうか。ジミーも連中に与していたわけだし。
また、歓楽街の踊り子ではなく(過去にはそうだったという設定だが)、牧場の従業員として、珍しく普通の格好をしている白木マリにも注目だ。

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