小林旭の無国籍映画に関するメモ(7)。

大海原を行く渡り鳥(1961.4.29)


舞台:長崎・雲仙
滝伸次の素性・目的:不明。
ライバル役:「つぶての竜」と名乗る中国系(?)の流れ者(藤村有弘)。得意の得物は、礫と言うより手裏剣。
ルリ子の役どころ:雲仙のホテル経営者の妹。
悪の黒幕:長崎の平和運輸の社長、磯部(芦田伸介)。
黒幕の目的:ホテル経営者が持つゲルマニウム鉱山の鉱石輸送の権利を奪うこと、また土地を奪って周辺を開発すること。
寸評:
宍戸錠が離脱した直後の作品。馬車が強盗に襲われたところを馬に乗った滝が助けるという、馬鹿馬鹿しいほど無国籍な導入は、錠の不在を不安視する観客に向かって、シリーズのテンションが下がっていないことを証明するかのようだ。
ライバル役の藤村有弘は得意の「三国人」(かつては当たり前に使われていた言葉であり、殊に藤村有弘の演ずる人物像を表すには他に適当な言葉がないので敢えて使う。差別的な意図は全くない)役を生き生きと演じている。その怪しさ、胡散臭さと、時折見せる滝への奇妙な連帯感や友情とが入り混じったキャラクターは、錠が演じてきた人物像とはまた違った魅力を放っている。できればもう一作ぐらい、滝と竜とのコンビで作品を残しておいて欲しかった。

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