小林旭の無国籍映画に関するメモ(10)。

海を渡る波止場の風(1960.5.28)


舞台:鹿児島・桜島
野村浩次の素性・目的:奄美大島復興資金を積んだセスナが桜島上空で墜落。パイロットは浩次の実弟の光彦で、事故が彼による狂言ではないかとの疑いを晴らすため、桜島へ。しかし、「3、4年前にタンカーに乗って日本を飛び出した」と語っており、麻薬取締官と言う前作の設定が生きているかは不明。
錠の役どころ:金庫破りの「ロックの五郎」。仲間を庇ってひとり捕まり、その服役が明け、分け前をもらいに来た。
ルリ子の役どころ:光彦の婚約者で、黒幕の娘。
悪の黒幕:ルリ子の父親、塚越(山内明)。光彦を麻薬漬けにして利用している。また、鹿児島のキャバレー「エメラルド」の支配人松川を使い、自分は影に隠れており、その松川が錠のかつての仲間。
黒幕の目的: 指宿の船舶会社「丸松回漕店」を乗っ取り、麻薬密輸の中継網を整備すること。
寸評:
メインキャスト3人がそろい、錠が単なる敵役でなくなり、白木マリが踊り子役で登場し、ますます「渡り鳥」とそっくりなフォーマットになったシリーズ第二作。しかし、比較的早い段階で旭と錠が手を組み息の合ったコンビのように動いたり、全般に明るめ、軽めのノリでひとつのトーンが出来上がっている。

南海の狼煙(1960.9.3)


舞台:愛媛・宇和島
野村浩次の素性・目的:不明。
錠の役どころ:流れ者「坊主の政」。「飲む打つ買うで僧籍を破門になった」とのこと。弟がおり、黒幕の指示で検査不合格で海に捨てられた真珠をサルベージしていて溺死したため、落とし前を付けに来た、と言っている。
ルリ子の役どころ:真珠養殖業「須賀真珠」の娘。
悪の黒幕:須賀真珠の競合相手、「宇高真珠」の経営者、黒田(金子信雄)。
黒幕の目的: 須賀真珠の乗っ取りと、ルリ子を手に入れること。
寸評:
主題歌は旭の代表作のひとつである「さすらい」で、哀感が増して作品全体にもその影が落ちるかと思いきや、錠の「坊主の政」という突き抜けたキャラクターのおかげか、どうにかカラッとした仕上がりにはなっている。しかし、麻薬取締官と言う設定が消し飛んでいて、「渡り鳥」っぽくなってしまった感は否めない。
金子信雄の配下が岡田真澄だったり、悪人にはめられるルリ子の兄役が「キャプテン・ウルトラ」の中田博久だったりというのは、年代によっては楽しめるポイントだろう。

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