久々に読んだハメット。

ダシール・ハメットはハードボイルド文学の祖である、というのは中学生の頃に読んだ本で学んだ。しかしハメットでは無く、またレイモンド・チャンドラーも書店でページをめくってみただけでちょっと鼻に付くような作風で読む気になれず、ロス・マクドナルドの「動く標的」からハードボイルド入門を果たした。チャンドラーは大人になってから意を決して一冊購入してみたがやはり読み進められず、諦めた。ロバート・B・パーカーも、「失投」ともう一作品ぐらい読んだ覚えがあるが、やはり鼻について好きになれなかった。人から借りて読んだペレケーノスも同様。どうも、出来がいいというか、食や衣類の薀蓄が語れたり、騎士道精神に溢れていたりするようなご立派な主人公が出てくると受け付けないようだ。
ハメットの「マルタの鷹」はそうした作品ではないような気がするが何故か何度も挑んでいまだに読了できていない。しかし「赤い収穫」は面白く読めた。「影なき男」もまずまず悪くなかった。
この「デイン家の呪い」は、「赤い収穫」と同じ「コンティネンタル探偵社」所属の探偵である「私」を主人公とする作品なので、大丈夫そうだが、はたしてどうだろう。



2009年に訳を改めた新版で、通常の文庫本より少しだけ背が高くなっているため、書店でかけてもらったカバーから上下がはみ出している。中身の方は、ハメット自身が駄目出しをしているそうで、若干不安だったが、冒頭からしばらく何だか描写がまどろっこしく感じられて、やっぱりか、という印象。しかし、読み進むにつれて、多少強引というか無茶苦茶な気はするが次々に人が死に、殺され、事件が目まぐるしく動いていくと、そこそこ引き込まれる。出来が良いとまではいえないが、ハードボイルド黎明期の古い作品であり、そんなに悪くもない、といったところ。

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