小林旭の無国籍映画に関するメモ(5)。

大草原の渡り鳥(1960.10.2)


舞台:北海道釧路近郊
滝伸次の素性・目的:素性は不明。前作、会津で身寄りをなくした少年を連れ、その親族を訪ねて北海道へ。
錠の役どころ:「ハートの政」。悪の黒幕・高堂とともに銀行強盗を働き、高堂をかばって一人で網走刑務所に服役。出所し、高堂に金をせびりに来た。
ルリ子の役どころ:民俗学者。アイヌ集落を調査するとともに、彼らの居住区の保護、民芸品を販売しアイヌたちの収入にするなどあれこれ腐心している。
悪の黒幕:釧路の裏社会のボスである高堂(金子信雄)。
黒幕の目的:アイヌ集落の土地を入手し、アミューズメント施設のための空港建設をもくろむ。
寸評:
シリーズ中の最高傑作とされる作品。前作、会津で出会い、亡くなった悪の黒幕の息子を連れ、その母を訪ねて釧路へ。母親は今回の悪の黒幕の愛人で、キャバレーのマダムにおさまり、そんな子どもは知らないと。というあたりはありがちで、その後母親の気持ちが変わっていくのもありがちな展開。しかし、そこにアイヌという少数民族問題がからまり、さらに西部劇そのままのガンアクションが展開され、無国籍映画の頂点とも言うべき作品に仕上がった。ネイティヴ・アメリカンの集落を手に入れて開発しようとする悪党と、それを阻止する流れ者のガンマン、集落を支援する白人のヒロイン、悪党の一味だが最後に裏切るもう一人のガンマン、と置き換えると、まるっきり西部劇だ。
惜しむらくは悪役側に腕利きの助っ人がいたりすれば、もう少し緊張感のある決闘が見られたのだが。金子信雄は、悪そうではあっても強そうではないので、旭と錠が手を組んでしまうと、どうしても相手が弱く見えてしまう。内田良平あたり、補強してほしかった。
なお、白木マリはアイヌの娘役だが、ダンサー役としての面目躍如(?)、民俗的な踊りを披露するシーンが用意されている。

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