甘いものは心に効く。

ポップ・ミュージックとは、3分間のメロドラマに過ぎない。というのは、もう20年以上、揺るぐことの無い確信だが、けしてポップ・ミュージックを貶めているのではなく、だからこそ愛おしく価値があるのだと思っている。現に、暑いし何かと忙しないしで、どうにも気持ちをさっぱりリフレッシュできず、だるいので自転車で遠出をしようという気にもならない最近、甘ったるい古いポップスのおかげてひと時の癒しを得ている。
甘いものを食べると幸福感が得られて不安が減退するそうで、甘い音楽にもそんな効果があるのかどうかはさておき、このところ無性にラフマニノフが聴きたくなったりしていたのも、アメリカ的かつポピュラーミュージック的な甘さが散りばめられているからだったのかもしれない。

しかし、残念なことにオンラインショップなどのぞいてみると、クラシックに比べてポップス系のCDはなかなか値が張って見える。安いのだろうが、如何せんクラシックは名盤と呼ばれるような過去の素晴らしい録音がすさまじく安価で手に入るので、こっちの感覚が狂ってしまっているのだ。それと、1枚のアルバムの中で、これは、という曲はわずかだったりすることが多く、もったいないという気持ちもある。ベスト盤なんかだと多少増えるだろうが、オリジナルのアルバムだと、自分にとって名曲と呼べるものが2曲もあれば御の字だろう。だからといって一曲ごとにダウンロードで買うというのはどうも違和感があって馴染めない。
で、音質的にももともとたいしたことが無いし、結局Youtubeで聴き流すぐらいでいいか、と思ってしまうのだが、それはそれで聴き出すと止まらない。


スキーター・デイヴィスの「この世の果てまで」。生まれる前年の歌で、高校生の頃ビートルズやオールディーズを愛する仲間たちと集まって聴いたりしていた中の一曲。イスラエル映画「グローイング・アップ」のサントラに入っていただろうか。邦題はちょっと意味が曖昧になっており、「世界の終り」ぐらいがちょうどいい。あなたに振られて世界は終りを迎えるのに、なぜ太陽は輝き続けるのだろう、とかそういう歌詞だから。


ブライアン・ハイランドの「涙の口づけ」。夏が来て離れ離れになるけれど、9月にまた会おう。それまで毎日、キスで封をして手紙を送るよ、というベタベタに甘い歌だ。これも「グローイング・アップ」に使われていただろうか。


当時、TVCMに代表曲「Surf City」が使われてちょっと話題になったジャンとディーンの、「It's as easy as 1,2,3」。邦題は無かったように思う。後に大学生になってから京都の中古レコード屋だか輸入レコード屋で見つけたLPに入っていた。この曲も、夏休みを迎えてお別れだけど秋にはまた一緒に、という「涙の口づけ」と同じテーマ。女声ヴォーカルにジル・ギブソンを迎えている。

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