ショルティの大地の歌と歓喜の歌。

サー・ゲオルグ・ショルティの名前は30年ほど前から知っていたが、友人がショルティ好きで、聴きたければ借りることができたから、昔は自分で買うことは無かった。で、今、CDになっても、そんなに持っていない。マーラーでは、2,5,6,9番、しかもそのうち2と9は手兵シカゴ響ではなくロンドン交響楽団とのものだ。
とはいえ、推進力に優れキビキビしたショルティとシカゴ響の演奏は非常に魅力的で、少なくともマーラーに関しては、他の曲も揃えておきたいところ。となるといっそのこと、全集を買ってしまって、だぶることになる5番6番はどうにかするか、などと思ってしまう(しかし全集はマスターが74分時代のものなのか、今は1枚で売られている7,8番が9番と合わせてややこしい詰め方になっているので買いづらい)。
そして、全集に含まれていない「大地の歌」は、もう流通在庫しか残っていないようなので、Webで見つけて慌てて押さえておいた。アナログ時代にワルターとNYP、最近はクレンペラーとフィルハーモニア管の演奏を聴いていて、まあ、必要十分な気はするけれど、歌手がなかなか素晴らしいようで、聴いてみたかった。



女声はイヴォンヌ・ミントン、男声はカラヤンやバーンスタインとの録音に参加しているルネ・コロ。
第一曲の冒頭から、急ぐことも無く、重たくもならず、なかなか鮮やかな立ち上がり。コロの歌唱は少し軽いと言うか乾いた感じ。録音面でも、声はやや控えめか。一方ミントンの声は、太すぎず、強すぎず、清々しい。ジェシー・ノーマンあたりと比べると弱弱しく感じるぐらいだが心地よいのでOK。録音も細かい音を良く拾って生き生きしており、あれよあれよと言う間に気持ちよく終曲まで辿り着いたが、その半ばあたり、オケのヴォリュームがぐっと上がったところで潰れたようなノイズが入る。DECCAの録音では時々あるのだが、歌唱も美しく伸びていったところだけに、誠に残念。それ以外は本当に素晴らしいのだが。
もうひとつ歌の入った交響曲で、ベートーヴェンの第9番も入手。



ミントンはこちらにも参加している。冒頭から緊張感が漂い、引き締まる思いで入って行ける。2楽章の繰り返し、繰り返しも、ぐいぐい引っ張るドライブ感で飽きたりだれたりしない。一転3楽章でやわらかい空気を醸し出して、続く終楽章の冒頭の押し出しが映える。歌に入っても脳天気になりすぎず、圧倒的な圧力でフィナーレ。文句なしだ。

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