このところ聴いているマーラー、ショスタコーヴィチ(1)。

まずは、久々にArte Novaレーベルのディスク。数年前から気になりつつどうなんだろうと迷って後回しにして来たが、ようやく入手した。



抑制されているなあと言う印象で、例えばバルビローリ盤の様なヴァイタリティは無い。丁寧に、穏やかに進んでいく。傾向としては、弦が抑え目、管が前に出てくる感じか。
第2楽章に入っても落ち着いた感じはあまり変わらないが、ユーモラスな管の響きがアクセントになって少しにぎやかに。そして一転、第3楽章は速い展開でスリリングに始まり、中盤いったん落ち着くが、終盤で再加速して勢い良く終わる。
そして終楽章、あまりメリハリをつけずにゆったりと始まる。しかし、遅いわけではない。やはり管がアクセントになって、この録音なりの個性が表出されているように感じるが、もうこの楽章になると曲そのものの素晴らしさに負けて、ああだこうだと吟味するような聴き方をしていられないまま、気がつけば終わっていく。なかなか良いディスクではなかろうか。値段以上の値打ちがあるのは確かだ。
途中、会場の環境音のようなものが聞こえるところがあり、クレジットを見ると3日に渡って録音されているようなので、ライブとセッションをまとめ直したものなのではないかと思ったが、どうだろう。

続いて、タワレコオリジナルの2枚組。

マーラー: 交響曲第4番, 第7番「夜の歌」

ハイティンクとコンセルトヘボウ管による、全集とは別の、80年代に入ってのデジタル録音2種を1組に。7番は、ホールの豊かな響きの中で、ゆったりと、マーラーの巨大な構築物をありのままにどーんと建ててみましたというか、まるで大きすぎて全体像が見えない城塞の様な演奏。録音は非常に良く装飾音なども克明に捉えられ、場面場面は見事に展開されていくのだが、聴き終えると結局全貌が掴めぬまま。
一方、4番もゆっくりと入っていき堂々とした押し出しで展開されていくのは7番と同様だが、こちらではそれが功を奏し、可憐だが散漫な印象の曲が、エネルギーに満ちて響く。ロバータ・アレグザンダーのソプラノは清浄で、厚みのある響き豊かなオケと絡んで心地よく聴きとおせた。もちろん録音も鮮明で、マイナス要素は全く見当たらない。

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