ロイヤルフィルのSACDベートーヴェン全集。

SACDが好きになったわけではないが、音、といっても曖昧な音質へのこだわりというよりはノイズや傷が無いことを重視してSACDまで視野に入れてディスクを探すと、選択肢が広がることに気がついた。
ロイヤルフィルハーモニック・オーケストラはオケが多すぎるとされるロンドンで3番手ぐらいの位置だそうだが、独Membran系統と思われるレーベルからかなりのディスクをリリースしていて、多くは有名どころではない指揮者を起用しているものの、評判の良い録音も結構ある。そしておそらくそのほとんどがSACDでも発売されている。
今回入手したのはSACD7枚組みのベートーヴェン交響曲全集。様々なボックスセットを出しているMembranのDocumentsレーベルだ。ショップによっては売価5千円台でしかも廃盤扱いだったりするが、難波のタワレコでは普通に、しかも安価で売られていた。



1,4,7番がバリー・ワーズワース指揮。ロイヤルバレエ団の音楽監督など、バレエ、オペラを中心にキャリアを積んだ人らしい。
2,8番はジェームズ・ロックハート。王立歌劇場管弦楽団などの常任指揮者を経て、王立音楽院の教授、東京芸大の客員教授などを勤めている。
3番はギュンター・ヘルビヒ。録音は持っていないがやっと知った名前が出てきた。
5番はクレール・ジボー。フランスの女性指揮者で、政治家でもあるらしい。
6番はマルク・エルムレル。バレエの専門家で、ボリショイ劇場などで活躍。
9番はレイモンド・レッパード。ECOなどで指揮をしていたようだがアメリカに移住し市民権までとっている模様。
ボーナスディスクとして10番のバリー・クーパーによる補筆版と、序曲など小品をまとめたものがついている。ダグラス・ボストック指揮チェコ室内フィル。ボストックではホルストの交響曲の世界初録音なんてのを持っているが、そういう珍品に積極的な人のようだ。

まずは1,2番を流し聴き。これらはベートーヴェンより一世代前の音楽を引き摺っていることもあってまあ、こんなものかと言う感じ。次いで、Web上であまり評判が良くない9番を車の中で聴いたがこれが悪くないどころかなかなか良い。なによりやはり録音が良い。終楽章になって歌手の非力さを感じるが、そもそも終楽章が好きでは無いのでかまわない。
5番もやはり終楽章の脳天気さが好きではないのだが、この録音はあまりはじけないというか、5番のあるべき姿かどうかは別にして、好ましい。
6番も冗長に感じられ苦手だがこれも意外や面白く聴ける。
いずれも音に厚みと締りがあり、ティンパニなどしっかりパンチが効いていて小気味良い。残りの録音も楽しみだ。

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