メタフィクションというかSFというかミステリーというか。


「ぼくを忘れたスパイ」の巻末、文庫目録の抜粋を眺めていて目に付いたので購入。
昨今、例えばAmazonで「この商品を買った人はこの商品も~」をはじめとする色々なレコメンド機能が当たり前になって来ているが、昔から文庫本の巻末にはこうしたお勧め品の目録がついていて、そこに載っている作品はジャンルとか作風とかでちゃんとセグメントされていて、しかもその手の本を実際に買った本人にしっかりリーチしているわけで、手法としては古典的で王道なんだなと、妙なところに感心してしまっている。
それはさておき、このところ翻訳物ではスピード感のあるものばかり読んでいたせいか、ゴリゴリとしてこつこつ歩くドラマのスピードに、すぐには馴染めなかった。
で、まあ、面白くなかったわけではないのだが、前半の展開の遅さのみならずどうにもすっきりしない感じがあって、底に流れているものもすっきりできないものではあるから仕方がないのかもしれないが、カタルシスが得られなかった。


非常に評価の高い作品であり作家であり、さてこれは偶々相性の問題なのか何なのか、ちょっと首をかしげて、もうひとつ翻訳されていた「シャーロック・ホームズ最後の解決」も読んでみた。こちらは短いもので、重さや長さはまったく比較にならないが、やっぱりすっきりしない。世の中はすっきりしないものなのだが、フィクションの世界ぐらいすっきりしてほしいなと思う。

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