協奏曲あれこれ。


ブラームスの協奏曲は、随分前にバーンスタイン指揮の3枚組を買っているのだが、長年、どうにも面白く聴くことができずにいた。ピアノ2曲はツィマーマン、ヴァイオリンはクレーメル、二重協奏曲はクレーメルとマイスキー、と大物ソリストを擁するにもかかわらず、というか、これらのソリストの演奏との相性なのかもしれないが、どの曲も、どうも、聞き込めない。
違う指揮者、違う奏者、オケ、で聴いてみて曲の良さを理解できたりということはしばしばあるので、三大協奏曲のひとつに上げられていながら自分には今ひとつ楽しくないこのヴァイオリン協奏曲を、ズッカーマンなら何とかしてくれるかも知れない、と、聴いてみた。指揮はズービン・メータ。オケは違うが、愛聴盤であるチャイコフスキーの協奏曲と同じコンビだ。
冒頭から雄雄しい旋律が立ち上がり、まるでブラームスの交響曲のようなスケール感が広がるのだが、結局のところ、この曲はヴァイオリン・ソロを含む交響曲みたいなもので、ソロ楽器が歌いまくったり泣き濡れたりと言うところに乏しい。協奏曲だと思って聴いているのにちょっとそれっぽくないところが、素直に楽しめない理由なのかと思い立った。だから見方と言うか聴き方を変えて、一般的な協奏曲とは違うものという前提で聴き込んでみると、これはこれでいい味わいがありそうだ。
肝心のズッカーマンの演奏はというと、切れ味鋭く見事ではあるものの、大らかに歌い上げるような場面に乏しいこの曲では、少なくとも私の好きなズッカーマンらしさはあまり発揮されていない、といったところ。
しかしながら、カップリングのブルッフの協奏曲第1番は秀逸。高音域寄りで線は細いものの優美な旋律が、生き生きと奏でられ、何より、終楽章の盛り上がりが素晴らしい。


プロコフィエフの交響協奏曲と、チャイコフスキーのロココ変奏曲のカップリング。どちらも「チェロ協奏曲」とは題されていないが、実質、チェロ協奏曲と認識しても怒られはすまい。
マゼール指揮、ピッツバーグ響、ソロはヨーヨー・マ。マの演奏は、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番や、ピアノ三重奏曲第2番あたりの録音を持っているぐらいだったろうか。タコ1なんかだと、曲がしなやかになり、グロテスクさが抑制される。しかも、なんだかひらひらと弾きこなしてしまっている印象がある。マゼールとピッツバーグ響との組み合わせは初めて聴くが、ソロ楽器の伴奏と言うこともあってか全般に統制の取れた、あるいは抑制の効いた演奏。その上に、マのチェロはやはり軽々と乗っかっていく。テンションが外的に発散されるのではなく深く内側に沈潜していくようだ。オケもソロもそんな感じなので、もう少し弾けてくれても良いのにと言うのが正直な感想。

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