メモ。

相撲は伝統芸能である、と言う場合。
八百長であることに全く問題は無い。歌舞伎の演目の中の出来事があらかじめ台本があるといって責められることが無いのと同様。アメリカのプロレスみたいなことをやっている伝統芸だと思えばよい。それに対して補助金が出ていてもいいじゃないか。

相撲はスポーツであると言う場合。
スポーツの定義がどうのこうのと言い出すとますますワケが判らなくなるが、兎に角「競技」であるとすると、八百長は「不正行為」であって、問題視されて当然となる。

しかし、そもそも取り組みや番付、昇進などそこかしこに合理的な基準以外のものが働く相撲が、果たしてまっとうなスポーツかと言うと、どうも違うような気がする。
勝敗によってランク付けされ、それにより社会的地位や報酬を高めていくと言うことで言えば、例えばボクシングが比較例になるだろう。
ボクシングもいまでは色々おかしなことがあるにせよ、基本的にはスポーツであり、プロレスとは異なる。各選手は成績に応じてランクを与えられ、そのランキングに則ってタイトルマッチが行われる。ランクインできていないようなボクサーはタイトルに挑戦できない。タイトルを得るとより格の高いタイトルのランクに入れられ、そこでランクを上げてまたタイトルに挑む。そうしていくことで試合のギャラも上がっていく。一方でプロレスのタイトルマッチなんてのは、その一連の興業の流れで組み合わせが決まったりしているだけで、客観的な基準に基づいてなどいない。報酬も団体から月給、年俸、あるいは1シリーズ分のギャラとして払われており、勝敗に依存しない。報酬は知らないがマッチメイクについてはK1なんてのも同様であるから、あれも純粋な競技とは言えないだろう。
スポーツであるならば、
・一定期間の実績に基づいて客観評価がなされ、その評価に応じて出場資格や対戦資格を得る。
・対戦はトーナメントやリーグ戦形式で行われ、そのマッチメイクは恣意的でない(抽選などである)。
と言った条件は必要なのではないか(例えば、オリンピックの柔道を想像すればよいだろう)。しかしながらこの点において、相撲の取り組みはプロレス的な決め方をされていると言ってよく、とてもスポーツとは呼べないのではないかと思う。
また、報酬についても、懸賞金やら勝った時のあれこれはあるにしても、基本的に協会から月給が支払われており、しかもその額が結構なものなのだから、それをキープできれば御の字と考える輩が出てきても不思議ではない。かつ、対戦相手も皆、同じところから給料を貰っているわけで、ほぼプロレスと同じ構造だ。

といいつつも、欧米的な白黒がはっきりする近代以降のスポーツとしては相撲は不適だが、伝統文化に則った日本独自のエンターテインメント・スポーツ(WWEはスポーツ・エンターテインメントだが、こちらはあくまでスポーツを主としたい)であるならば、前回の実績から大まかに取り組みを決め、日々の結果に基づいてそれを修正しつつ、最終日(千秋楽)を盛り上げるべく組み立てていくと言う今の相撲の興業スタイルで、別に良いのではないかという気もする。

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