最近の通勤の供。


相変わらず鱒二。森繁久弥やフランキー堺、伴淳三郎らが出ていた「駅前」シリーズという喜劇映画があって、その第一作はこの本を下敷きにしたそうだ。といっても、どうも私は森繁が好きでなく、「駅前」のみならず「社長」シリーズなんかもまったく見ずに来たのだが、この本は面白い。そして、昭和とは、節度のある時代だったのだと、思い知らされる。


「奇跡の自転車」というタイトルで翻訳されていて、文庫化されたら読もうと思っていたら、邦題が変わっていて危うく買いそびれそうになった。暖かいけれどうまく行き過ぎない、得られるだけではなく、甘いだけではなく、苦いものや酸いものもない交ぜになりながら進んでいく御伽噺。作者のロン・マクラーティはTVを中心に活動している俳優だそうだが、何とも素晴らしい物語だった。
昨今の自転車ブームに乗っかって出てきた本ではないので、「奇跡の自転車」を「ぼくとペダルと始まりの旅」に改めたのは正解だったように思う。ここでは自転車は道具に、乗り物に、あるいは触媒に過ぎないからだ。

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