年末の通勤の供。

井伏鱒二月間、と言う感じになっている。

「さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記」井伏鱒二
平家の没落をいち将官の日記と言う形で辿った「さざなみ軍記」は、意図的に時間を空けて少しづつ執筆されたと言う、なかなかに実験的な作品。作者自身の年を追っての文体の変化を、そのまま統一することなくまとめているそうだ。
タイトルに無いもう一編、「二つの話」はタイムスリップもので、これもなかなか尖がっている。1946年に出版されたとは驚きだ。ユーモアとペーソス、と言ったキーワードで語られることの多い井伏鱒二の別の顔が見えて面白い。
さざなみ軍記・ジョン万次郎漂流記 (新潮文庫)

「珍品堂主人」井伏鱒二
骨董に憑かれてしまった主人公が、料亭の切り盛りをまかされて、と言うお話。骨董の世界には明るくないが面白く読めた。
珍品堂主人 (中公文庫)

「山椒魚・遥拝隊長 他」井伏鱒二
どちらかというと暖かい、ユーモアとペーソスの人という印象があるが、それだけではないことがわかる。
山椒魚・遥拝隊長 他7編 (岩波文庫 緑 77-1)

年が明けたら、ドン・ウィンズロウの「フランキー・マシーンの夜」にとりかかろう。

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