ショルティのショスタコーヴィチ10番、13番。

続いて10番は、1990年、シカゴ響との録音。
カラヤンにせよムラヴィンスキーにせよ、甘さの無い、緩みの無い演奏が、名演として評価されている。それならショルティ&シカゴ響にはうってつけの曲ではないかと、聴く前から勝手に思っている。
そして聴いてみると、8番に感じたのと同様、ショルティ&シカゴだからといって、けして硬質で豪快というかカッチリ、キビキビ、ズンズンではなく、もちろんチェコフィルの7番9番あたりのような柔和さは無いけれど、どちらかと言えば剛より柔ではないかという演奏。
2楽章のスリリングな展開も、カラヤンの66年の演奏の方がよほど性急かつ大見得を切った感じではなかろうか。この粛々と進むところはムラヴィンスキーに近いが、ムラヴィンスキーほど無愛想で冷徹ではなく、曲の組み立てを解説しながら進んでいるように思える。長年避けてきて、晩年にようやく取り組み始めた作曲家の曲を、慈しみながら丁寧に指揮していると言うことなのだろうか。
もっとも、ただただ淡々とは終わらない。終楽章に入り軽妙なピッコロのあたりを過ぎると、アクセルが踏み込まれたかのようにテンションが上がって行く。シカゴ響らしいと思える力強い金管、緊張感溢れる弦の響きが、興奮を高めてクライマックスへ。
それなのに、曲が終わると即座に入る拍手がなんとも興ざめと言うか、余韻に浸る間も与えてくれないというのが残念。これだからライブ録音は。

13番バビ・ヤールは、シカゴ響との、1995年の録音。
冒頭と中間で解説のナレーションが入っている。クレジットにはサー・アンソニー・ホプキンスとあるのだが、あの、アンソニー・ホプキンスだろうか。ハンニバル・レクターやケロッグ博士の?
演奏の方は、声楽入りで強弱の著しい難しさもあってか、弱音が小さすぎる感もあるが、丁寧で抑制が効いているなと感じるのは他の曲同様。解説もあって、リスナーにショスタコーヴィチの芸術をしっかり解き解して見せようということなのだろう。なるほどそう捉えると、他の曲も含めショルティのショスタコーヴィチに対するスタンス、アプローチが理解できそうな気がする。

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