おまけの収録曲が素晴らしい。

アナログレコードからCDになってのメリットは、ノイズの低減、収録時間が長くなったこと、それに伴い裏返す必要がなくなったこと、小さくなって収納場所の悩みが減ったこと、このあたりだろう(音質についてはそれぞれメリットデメリットあろうし、百家争鳴状態なのでまあ、放っておきたい)。
特に収録時間の拡大は、マーラーの大曲を聴きやすくするなど長尺作品の普及に大いに貢献していると思われる。それと、組み合わせの妙というか、複数作品を一枚に収録することで、時には資料的・網羅的に、あるいはコンサートを再現するかのように、また指揮者の何らかの意図を表現したりと、ディスクに色々な意味合いを持たせられるようになったことも、クラシック音楽を楽しむ上ではありがたいことのような気がする。

例えば、ショスタコーヴィチのあまり多くない協奏曲で、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、それぞれ2作品ずつが各々一枚のディスクに入っていると、コレクションとしては非常に便利だ。

例えば、ノイマン&チェコフィルのショスタコーヴィチのように、「ノイマン20世紀の曲を振る」というテーマでブリテン、シェーンベルクまで含んでいると、私の場合ブリテンとシェーンベルクのディスクだと買わないだろうから、レコード会社が考えた組み合わせのおかげで聴いてみることになったりする。そうして、とある音楽と出会い、人によってはそこからその作曲家の研究に踏み込むこともあるだろう。

そして、以上のようなケースほど意図的なのかどうかよくわからないのだが、時間が空いたところを埋めるために小作品が収められていることもある。
例えばハインリヒ・シフによるドヴォルザークとシューマンのチェロ協奏曲のディスクに、シューマンのチェロとピアノのための「アダージョとアレグロ」が入っている。それが意外と、というと失礼だがメインタイトルの曲よりも良かったりする。
ヘンリク・シェリングによるシューマンとメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のディスクに、小品が幾つか入っていて、中でもバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」のヴァイオリン編曲版がこの上なく哀感を湛え美しく素晴らしい、なんてこともある。

これらはどちらも入門者向け廉価盤のeloquenceレーベルであるが、録音が古かったりするだけで演奏は文句のつけようが無い。リマスタリングが優れているのか音質もクリアで、その上、このように予期せずちょっとした名曲を発見できるとなると、最早言うことなしだ。

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