マーラー全集を予約する。

今年はマーラーの生誕150年、いわゆるメモリアル・イヤー。世間的にはショパン・イヤーの方が注目されているが、個人的にはショパンよりマーラーだ。
といっても、別に何か買いあさろうと思っているわけではないのだが、昨年あたりからカンタータ「嘆きの歌」のディスクを探していて、これといったものが店頭で見つからずにいた。難波のタワーでは、ブーレーズの録音集のひとつとしてマーラーとワグナーの作品を組み合わせたセットと、シャイー指揮の他の歌曲も含んだ2枚組ぐらいしかない。嘆きの歌だけのディスクがオンラインでは買えるのだが、店頭には無いという状況だった。
候補となるディスクとしては、ラトル指揮の決定稿+破棄された初稿の第一部の組み合わせ、MTTによる同様のもの、そしてケント・ナガノによる初稿の復刻もの、といったあたり。ネット上で貴重なレビューを拝読したりしつつ、いつの間にかMTTのものは入手困難になったりしていて、だらだらと買えずに来ていた。
また、未聴のマーラー作品としてもうひとつ、ピアノ四重奏曲の断章というのがあるわけだが、これも、ディスクの選択肢があまり無く、あっても短い曲なので添え物的な存在になっており、買おうか買うまいか決めかねていた。

そうしたところへ、メモリアル・イヤーのおかげか、グラモフォン(実態はデッカとフィリップスを加えた連合体だが)とEMIという2大レーベルからそれぞれにマーラーの作品を網羅した全集が発売されることになった。嘆きの歌も四重奏曲も当然収録されており、それぞれ集めようとすると苦労しそうな歌曲なども入っている。これは都合が良いのだが、問題は、すでに持っているディスクと被っていたり、特に聴きたい曲が誰の指揮であるかといったところだ。

グラモフォンの良いところは、交響曲の8番がショルティ指揮シカゴ響でしかも1枚に収まっているところ。メータ指揮の2番も興味津々。カラヤンの9番もこれまで手を出さずに来ているので聴いて見たいが、2枚組というのが少ししらける(どうにも、途中でディスクを入れ替えるという行為が興ざめに思えてならない。故に、マゼールの9番なんかも聴きたいのだが手を出せずにいる。PCに吸い込んでしまえばよいのだが、となるとオーディオ用のPCを組まねばならなくなる)。アバドの6番は違うオケでだが映像を見てあまり面白くなかったので不安。シノーポリの7番は聴いてみたいが2枚組なので減点。大地の歌はジュリーニ、4番はブーレーズだが、どちらも(性質は違うが結果的に)だるい感じかなと少し不安。ショスタコーヴィチやブラームスで嫌いになってしまったバーンスタインの5番も不安だ。そして、クーベリックの1番が持っているものと被る。

EMIの方は、マーラー入門がワルターからだった自分にとって縁がなかったクレンペラー指揮の録音が含まれている点が魅力。2番と大地の歌だ。粘着・情念系とされるテンシュテットの演奏は聴いたことが無いし、こういうセットに入っていなければ今後も進んで聴くことが無いと思うのでむしろ入っていてくれてOKだろう。ラトルが3番、7番、10番、嘆きの歌と多くを占めているが、これも同様だ。
バルビローリの6番は持っていないのでこれも是非聴きたいが2枚にまたがっているのは減点材料。しかし、他でもないバルビローリであるということ自体はプラス材料でもある。ただし、バルビローリの9番はすでに愛聴盤で被りは残念だ。

といったことを、ちゃんと表を作って比較して、結局EMIの方を予約した。5月下旬の発売だ。

コメント

人気の投稿