サヴァリッシュのベートーヴェンを聴き終えて。

まず9番だが、ライヴ録音であることが、メリット、デメリットの両方を生み出していると感じた。メリットは、ライブならではの緊張感と、推進力。デメリットは、録音が今ひとつ。3楽章までと4楽章とでがらりと変わる曲に対して、マイクセッティングなどその場で変えられず、恐らくは4楽章に合わせた為だろうか、どうも3楽章までの分離、録音レベルなど、今ひとつと思えた。
しかし演奏は、4楽章になっても(ワルター指揮コロンビア響のように)極端に能天気に変化するわけでなく、歓喜は満ちていくが緊張感は途切れないので、こちらも終わりまで真面目に聴くことができた。

9番以外についても若干分離が悪いなとは思ったが、そもそも原版が音質ではあまり評価の高くないEMIの録音であるし、それを考慮すればまずまずクリアに録れていると言えるだろう。

また、巷間可も無く不可も無いとか教科書的とか没個性的とか評されるサヴァリッシュだが、全曲を通じ、レヴェルの高いオケと響きのよいホールを活かして、美しくも男性的、毅然として迫力あるベートーヴェンを聴かせてくれた。
4番、5番、8番が今までの印象よりは面白く感じられたので、しばらく聴き続けることにしたい。

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