美しい、ズッカーマンのベートーヴェン。

家内が、カードのポイントとの引き換えかなにかで「音楽ギフト券がもらえるからあげようか」と言うので、もちろんちょうだいと答えたのだが、続けて「ベートーヴェンでも買おうかな」と言うと、「ベートーヴェンに使われるくらいなら自分で使う」とのたまった。ちょっと、ベートーヴェンがかわいそうになった。偉大な人なのに。

で、それとは関係なく、ヴァイオリンソナタ全集を購入した。ヴァイオリンはズッカーマン(ズーカーマン?どっちだ?)、ピアノはマルク・ナイクルグ。前にも書いたようにベートーヴェンはいまひとつ苦手で、ヴァイオリン・ソナタも特に好きだったりはしないのだが、自らのベートーヴェン理解の一助として、また、ズッカーマンの美音が聴きたくて手を出した。

ベートーヴェン ヴァイオリンソナタ全集
演奏:ピンカス・ズッカーマン(Vn.)、マルク・ナイクルグ(Pf.)
品番:RCA 0828766788822



といってもズッカーマンの録音で持っているのは、メータ指揮イスラエルフィルと組んでのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のディスクのみ。しかしこれが自分にとってはジャンルや作曲家を超えた最良のディスクの1枚であり、同曲異演を全く求めようとも思わないほど、ズッカーマンには惚れている。ただ単に、他の聴きたい曲の録音がなかなか見当たらないから持っていないだけなのだ。
ふくらみがあって艶がある。というと、美味く炊けたご飯の様な例えだが、そういう音がする。もちろん哀調を帯びた調べも切れのあるアタックも聴かせるが、温かみや華やぎのある旋律を生き生きと歌わせるところにこの人の真骨頂があるのではないかと思う。
よって、この全集でも、第5番「春」をはじめ、温かく豊かな音楽に浸ることができる。ナイクルグのピアノとの息も合っている。録音もクリアでかつ棘がなく、よくできている。

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