チャペックの「クラカチット」と「流れ星」。

カレル・チャペックの小説「クラカチット」を読んだ。
「ロボット」も「山椒魚戦争」も、人類が自らの選択によって滅びの道を歩む話であるが、この作品でも、大勢としての人類は誤った方向へ進もうとしている。
クラカチットというのは主人公が発明してしまった画期的な爆薬の名前で、作品世界での究極兵器足りうるものだ。しかし、その爆薬自体はすぐに主人公の手を離れてしまう。となると、クラチカットを手に入れるには、それを生み出せる主人公を捕まえること、となって、ギャビン・ライアル「深夜プラス1」に代表されるお宝争奪戦が始まるかと思いきや、なかなかそんなに単純ではないところが面白い。
ハードカヴァーしか選択肢がないのは通勤には辛いが、必読であると感じた。



もう一冊、「流れ星」もハードカヴァー。身元不明の死にかけの負傷者をめぐってその人となりを探るというか憶測を飛び交わせるというか、芥川の「藪の中」的な作品といわれていて確かに近いところはあるが、ある登場人物の意見なのか絶対者である作者の視点からの記述なのか、こっちが年取ってぼけ始めているせいなのか油断するとこんがらがってしまう。

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