ジロ。今夜はミラノ。

ジロ・デ・イタリアは昨夜までで8つのステージを終えた。そのうち、ゴールスプリント争いになりそうなステージは3つ、実際にそうなったのは2つ、その2つをアレッサンドロ・ペタッキはすばらしいパフォーマンスで制した。
ファッサ・ボルトロ時代のペタッキは、優秀なアシスト陣が隊列(トレイン)を組み、先頭のアシストが風除けになりつつスピードを上げて力尽き脱落、それを一人また一人と繰り返し、速度を限界まで上げた後、最後のアシストの背後から飛び出すと言うのが必勝パターンだった。
しかしチームが解散し別のチーム(チーム・ミルラム)に移ってアシストの顔ぶれも少し変わり、またライバルたちもトレインに対策をとるようになり、簡単には勝てなくなってきていた。年齢も重ねているし、膝の皿を割ったり、怒りのあまりレース後に他チームのバスを殴って骨折したり、喘息薬の使用量が多すぎてドーピング扱いとなり勝利記録を取り消されたり出場停止になったりと、かつての栄光から一転、ここ数年は不運に見舞われ続けてもいた。
そして今の「LPRブレーキ」チームで心機一転を図るわけだが、このチームには、ジロで総合優勝(全日程通算での走破タイムを競うもので、各日各ステージでの勝利は問わない。21日のステージで1勝も挙げずとも、総合優勝は可能)を狙うエースのダニーロ・ディルーカがいる。ゆえに、チーム編成としては、ディルーカをアシストする体制をとる必要があり、ペタッキのための牽引役、発射台を並べるわけにはいかない。
そういう状況で、ディルーカを含むチームメイトの協力を受けつつ、最後のスプリントに向けては他チームの隊列を上手く利用したりしながら、ペタッキは戦った。
2日目、自分が低迷している間に名を上げ、最強のスプリンターと呼ばれるようになったマーク・カヴェンディッシュを、単なる脚比べでなく仕掛けのタイミングと言う技術的な側面で子ども扱いした。
その翌日は、ゴール手前のやや見通しの悪いカーブを利用して早めに抜け出し、逃げ切った。
ただ強いだけではなく、円熟と言う言葉がふさわしいと思えるようになってきた。

今日は、ミラノ市内を周回するフラットコース。ギャンブル的な逃げが決まらない限り、ゴールはスプリント合戦となる。ペタッキが3勝目を挙げられるか、注目したい。

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