マゼールの惑星。

先日のN響アワーでシャルル・デュトワ指揮の惑星を視聴して、全般にちょっと遅くて重厚に過ぎるなと感じ、別の演奏を聴きたくなったところ、難波の新星堂で国内盤2枚以上で20%オフというセールに出くわし、マゼール指揮フランス国立管弦楽団の録音を購入した。一緒に買ったのは、家内用のゴルドベルク変奏曲、グレン・グールドの81年の録音。どちらもソニー・クラシカルレーベルの「ベスト100」シリーズで、定価が安い上に2割引である。

ホルスト 惑星/プロコフィエフ 「3つのオレンジへの恋」組曲
指揮:ロリン・マゼール
オケ:フランス国立管弦楽団/同・女声合唱団
品番:Sony Classical SICC-1084

ホルスト:「惑星」他

オーディオ趣味を始めて、ようやくまともなレコード・プレーヤを導入できたのが、1981年頃だったろうか。当時録音の良さで評判だったテラークレーベルの管弦楽版「展覧会の絵」あたりから、ぽつぽつとLPレコードを集め始めた。これがマゼール指揮、クリーブランド管弦楽団の録音で、その後もシェヘラザードとかガーシュウィンとか、迷ったらマゼール指揮のものをしばらく買っていた。

が、惑星はなぜか、小澤指揮ボストン響を持っていた。このコンビの最高傑作とも言われている録音だが、いまひとつ聴きこめなかった。火星から木星まではいいのだが、それ以降がつまらなく感じたのは自分が若かったせいもあろうが、演奏自体がどちらかと言えばすっきりと端整であったためかと思う。

さて、マゼールだ。マゼールの録音を購入したのはアナログからCDに移行して初めて。20数年ぶりで、その間にマゼールはウィーンフィルとマーラー全集を作ったりしながら、王道を歩む大御所というよりは、どちらかといえば異能的な天才として独特の地位を築き上げているようだ。そのパワーはこの盤にもよく現れていて、劈頭、火星のおどろおどろしさが、快活なテンポにもかかわらず重さを失わずに響いてくる。そして、土星以降も、小さくまとまらず、こっちのテンションを保ち続けてくれる。
よく言えばメリハリが、悪く言えば、ハッタリが効いているというか、アクが強いというか。とにかくとてもいい惑星だった。

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